不妊治療日記 プロローグ2
あらすじ
結婚後、こどもが欲しいと思うようになったあめ、ゆるく妊活開始
そのさなか、相方あさが体調を崩す
一向に復調しないあさが高熱を出して受診した診療所で、医師から難病にかかっている可能性を示唆される
その診療所の皮膚科の医師は、ご自分のスマホで検索をかけたらしい画面を見せてきた
画面には「チャーグ・ストラウス症候群」という病名
状況がまったくわからず茫然となった
あささんも、点滴を受けながら医師の話を聞いていたが同じく茫然としている
医師は、確証はないと言いつつこの病気だと断定している様子で
「紹介状を用意するから、○○総合病院で診察してもらうほうがいい」と伝えるとその場を離れていった
紹介状をもらい、まだ茫然としながらも帰路につく
次の日、紹介状を持参してその地域で一番大規模な総合病院へと向かう
さらに数日かけて検査を受け、結果が出た
”好酸球性多発性血管炎性肉芽腫症”
(別名:チャーグ・ストラウス症候群)
https://www.nanbyou.or.jp/entry/3878
最初の診療所の医師が推測した病気で診断された
「早速入院して治療します。経過によりますが、入院期間は2か月はかかるでしょう」
こうして主治医の指示のもと、難病治療が始まった
病室が決まり、当面の荷物を部屋に運んでいるとき、主治医から気になる質問をされた
「おふたりにはお子さんはいらっしゃいますか?これから持つ予定は?」
あささんは特に気にすることなく「できれば、持ちたいとは…」と答える
主治医はひとつ頷き「善処します」
自分は言いようのない不安に襲われていた
この難病は一生ものだ
それもあってこどもを持たない人生になるのだろうか
けど医師は明言しなかったからダメと決まったわけでは…
もやもやとしたまま、あささんの入院生活をサポートする日々を過ごす
治療は効いているらしく入院した次の日から目に見えて食欲が戻り、熱も下がっていた
入院治療を始めて2週間が経ったころ、主治医から呼び出しがかかった
今後の治療方針についての説明とのことでふたりそろって面談室に向かう
主治医の説明は
- この難病の主な治療はステロイドを一定期間・一定量を投与し炎症を鎮めるもの(ステロイドパルス療法)
- ただステロイドは効果はあるけど副作用も半端なく強い
- 今後はステロイドの量を減らして代わりに免疫抑制剤(この時は抗がん剤との説明)を使用、退院までに少量のステロイドで症状を抑えられる状態にする
- しかし免疫抑制剤を使用すると、生殖機能が著しく低下し不妊の状態になる
- この後天的な男性不妊が免疫抑制剤投与終了後にどこまで回復するかは個人差が大きく、そのままの人もいれば一年ほどで回復するひともいる
- 今後子どもを希望されるのであれば、免疫抑制剤への切り替え前の今のうちに精子の凍結保存を薦める
とのことだった
頭がまっしろになった
あの時の主治医の言う”善処”とは、精子の凍結保存を請け負う他所の病院の紹介のことだった
子ども、せっかくほしいと思い始めた矢先に、なんで…
それなら、もう、いい…あささんもきっと諦める…
茫然とする自分
あささんは「あめは、どうしたい?」と聞いてきた
続けて「おれは、希望があるなら、それにかけたい。あめに、おれの子供産んでほしい」と
あささんが望むなら、自分が拒否する理由はなかった
こうして、自分たちの不妊治療が始まることになった