Ame-Hare’s blog

日々の生活や体験談、マンガやアニメを綴ります

不妊治療日記 1年目 入院と採卵オペ

 

やってきました、採卵のための入院(1日目)

朝から高速吹っ飛ばしてなんとか病院指定の時間までに来院

急なお願いだったのに送ってくれてありがとう、両親

けど、追い越し車線を小一時間走り続けるのはリスキーだからもう止めようね父…

 

とは言え1日目はなんもすることはなし

お昼を食べ、散歩をし、売店でおやつを買って、風呂入り…

バイタル測定(血圧、体温の測定)以外は暇

21時以降は絶食、以外に今日するオペの準備はなし

 

そう、オペ!!

ありがたいことに健康優良児=年齢の自分にとって人生初の入院でさらにオペ

本当に不謹慎だけど、自分の命にかかわらないことだからかワクワクしていて、病棟での自分はさぞおかしな患者だったでしょう…

そんなメンタルだったので夜もなかなか眠れず

巡視のナースさんに少々迷惑をかけるはめに

大部屋なのに消灯後もスマホいじっててすみません…

 

そして採卵オペ当日

朝9時から絶水と点滴での栄養&水分補給開始

10時半にはあささんも到着し、本日のスケジュールの再確認

予定では11時から12時までに全身麻酔下で採卵手術施行、麻酔が切れる16時以降に退院となってました

今のところスケジュールは滞りなく進んでいるので問題なし、とのこと

人生初のオペにワクワク、とかぬかしていた自分もさすがに緊張してくる…

そして10時50分、徒歩にて採卵室まで移動

術衣で、点滴ひっかけてある台を押しつつヨタヨタ歩いてなんとか採卵室へ入室

 

手術台に横になり、姿勢を整えられて、様々な機械に繋がれる自分(心電図やら酸素マスクやら…)

内診してみるとコンディションに問題は無い様子

Dr.>>「では全身麻酔が入ります。点滴からなのでちょっと痛みますよ~」

 

え、麻酔なのに痛いの?…

とか考えているうちに点滴の針が入っているあたりから

じわじわと液体が滲みわたるような痛みが広がっていく感触…

からの、眠りに落ちるよりも唐突に、意識が飛ぶ感覚

 

 

Dr.>>「あめさ~ん、終わりましたよ~」

うたたねから突如目覚めたような感覚で覚醒

とはいえ、全身に力が入らないし眼もまともに開けていられない

声も出ない

夢をみているような…夢の中のような…

そんな状態でも、ナースさん方が力を合わせてストレッチャーに移乗させてくれたのはわかって「ナースさんは移乗も上手だな」とか考えてました

 

あとは麻酔が抜けて動けるようになれればそのまま退院、の予定でしたが

 

予想外に麻酔が抜けない………

覚醒とうとうとするを繰り返し、徐々に覚醒が長くなってきたころ体を動かそうとするも、猛烈なめまいと吐き気で動けず

15時ごろトイレに連れ出そうとしてくれたナースさんにも「そろそろ動けるはずなんですけど………」と、不思議そうにされる始末

夕方16時、退院前の診察に医師が来た時もいまだベッドから体すら起こせず、吐き気と新たに出てきた下腹部の痛みをこらえる自分

 

Dr.>>「ちょっとこの状態では退院させられないね。トイレも行けてないの?じゃあ導尿で出そうかぁ」

Dr...>>「下腹部の痛みは採卵の影響です。注射器みたいな道具で卵と周りの卵巣の組織を吸い取って採取してるから、傷ついちゃうんです。丁寧にやったけど。」

 

下っ腹痛い理由は理解できて一安心

そして体に入れた麻酔を体外に排出するためにトイレに行かねばならんということ

ベッドから起き上がれないならその場で出すための処置をしてみようか、と

 

それで導尿?………されてたまるかそんなん!!

仕事柄、導尿がどんな処置か知っていたので、導尿されたくない一心でトイレに行くことにする自分

吐いて汚したりしたくはなかったけど、ナースさんの介助を受けてなんとか車いすでトイレに行き、吐いたり転んだりもせず無事に用を足せました

これで帰れるかと思いきや、相変わらずの吐き気と歩行もおぼつかない状態によりもう一晩入院、点滴で水分取って様子見することに………

 

結局、吐き気が治まり自力で立てるようになったのはその日の夜21時ごろあたりから…

夕食もままならず、スムージーをなんとか飲み込みその日は就寝

 

次の日、下腹部が痛むものの歩行はスムーズ

採取した卵もすべて無事に受精され、培養されているとのこと

 

ちなみになんで術後あんなに動けなかったのかというと、自分は体質的に薬が効きやすいのだろうということ

説明になってるようななってないような…

 

何はともあれ、無事(?)に採卵し受精卵を得ることに成功

翌日に受精卵の育ち具合を電話連絡するということでその日は退院

予想外に伸びた入院により診療明細の金額もえらいこっちゃになったものの(手術代他合わせて30万近くでした)、目的の卵の採取が済んだからと心軽くお支払い

この時点では不妊治療の一番大変な部分を乗り越えたつもりになって、あとはかわいい赤ちゃんと対面できる日を心待ちにするだけ、と思ってました

 

今思えばまだスタートして1㎞走ったようなものなんですけどね………

不妊治療日記 1年目 採卵準備と初副作用

採卵の日程も調整して、あとは採卵を待つばかり…

という時期のこと

 

いつものように高速ぶっとばしての通院

今日の診察までに月経来なかったor月経終わってたらリスケのプレッシャーがあったものの無事に本日月経3日目

採血と尿検の結果も問題なし

Dr.>>「問題ありませんね、このままスケジュールを進めましょう」「今日から排卵誘発剤の自己注射開始してください、3日後と6日後に卵巣の様子を見るので予約入れますね~」

 

………

…え?

今、今週にもう1回と来週にもう1回受診しろと?

採卵オペ予定の前後しか休み調整してないんですけど………

 

想定外の日程に付き添いの相方もスマホのカレンダーを慌てて確認し始める

 

いや、排卵誘発剤の自己注射とその副作用の説明は前回のカウンセリングで聞いたけど

卵巣チェックの受診は聞いてなーい!!休み取ってなーい!!

 

無表情を保ちつつ勤務変更するための上司への言い訳を考え始め、カレンダーとにらめっこする相方と相談し、とりあえず受診予約はいれてもらう

ええい、休みはなんとか取るしかないと開き直った

 

その後自己注射の指導

が、何を隠そう自分は”注射が大嫌い”

職業柄、毎年のインフルエンザ予防接種は避けられないのだがそれだっていやいや受けているし、毎度の採血でも絶っ対に針を打つ瞬間を見ないように顔を背けてナースさんに苦笑いされている始末

注射の使い方を指導してくれているナースさんも自分の顔色不良っぷりに察してくれた様子で

「お辛いなら、旦那さんに打ってもらってもいいですよ」と言ってくれた

 

いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや

ナースでもなんでもない一般人に打たれるほうがいやだわ!!

自分で打つ方がなんぼかマシじゃーい‼‼

 

腹、くくりました

 

その時に処方された注射はペン型のもので針も極細、とりあえず注射っぽくない見た目だったので、なんとかナースさんと相方に見守られながら自己注射クリア

この時はお腹にぷすっ、でしたが凄い疲れました

これ、明日からは一人でやるんかぁ………

 

ここまでで結構メンタル削られましたが、これで終わらなかった

なんとお注射1揃え(本体、薬剤のカートリッジ、針セット)と診察代諸々で会計2万5千越え………

 

当時はまだ不妊治療自体が自由診療だったので下準備のための検査から処方箋にいたるまでほぼ全部自費、保険適用外

健康優良児で20数年通してきた自分にとって、医療費がひと月で1万超えることなんかなくて、不妊治療のための受診のたびに数千円消えるだけでも実はけっこうモヤってました

これが不妊治療における金銭的な大変さかぁ………

とか考えつつ白目でお支払い(笑)

 

ついで、職場の上司にも電話で勤務変更を依頼

このころ介護業界で正社員(週休二日制)やってたので人手不足なのに申し訳なくて胃がキリキリしてましたが無事、受診日に休みにしてもらいました

 

そうして自己注射開始して次の日

な  ん  か  だ  る  い………

副作用の説明も当然受けてましたが、なめくさってましたごめんなさい………

倦怠感で仕事しんどい………

けどこれも採卵までの辛抱…でもあと一週間…しんどっっっ

その日はなんとか仕事を乗り越え、いやいやながらも夜寝る前に自己注射

今日は昨日とは反対側のお腹にぷちっとな

 

次の日、多少は体も慣れたのかだるさが少し抜けました

代わりに(?)下腹部に違和感が出て吐き気にも日中悩まされましたが

そして再びやってきました、自己注射のお時間

大嫌いな注射を自分で打つストレスに、副作用が起こるとわかっているのにあえて打たなきゃならない嫌悪感が加わりゲンナリ

とは言え自分でやると決めたこと、諦めて太ももにぷすっといきました

 

自己注射開始して3日

下腹部の違和感は残るも、倦怠感は落ち着きました

良き良き

そして受診

自己注射でのドーピングのおかげで無事に卵胞も育っているしまだ排卵も起こっていない、心配していた副作用の腹水(卵巣が腫れて水が溜まる症状)も起きておらず、経過としては順調

Dr.>>「では次の受診までの3日間、排卵抑制剤の自己注射も開始してください」

………注射1本追加ですか………今晩からは2本打つってことですか………orz

白目むきつつお会計して帰宅

どんな副作用出るのかな、とか考える余裕が出てきたのは僥倖でした

が、処方された2本めの注射は一般的なシリンジタイプ

ガチの注射フォルムに慄きつつなんとか2本併せて、自己注射

 

次の日の倦怠感と吐き気たるや………少し動くだけでも吐きそうになるのをこらえて仕事するのはま~しんどいこと…これはつわり、耐えねばならぬと言い聞かせて1日をなんとか乗りこえ、本日もお注射2本

今回は排卵抑制剤を打った部位にすぐさま赤みとかゆみが出てビビりましたが、小1時間で収束

明日もしんどいお仕事か~と憂鬱になるも杞憂でした

 

排卵抑制剤追加から3日、倦怠感と吐き気は確かにあるも少し治まったようで昨日ほどはつらくない

明るい気分で仕事を終えて帰宅

今日の注射は今までで一番怖くない!

 

そして受診の日

エコーの結果、卵胞は右に5個左に3個計8個育っており経過は順調

翌々日に採卵決行‼‼‼

長かった…頑張った自分…晴れて自己注射生活におさらば………

 

Dr>>「では本日の23時に卵の成熟を促す注射を打ってください」

………はい3本目入りましたーーーorz  orz  orz

さらに

Dr.>>「明日の10:30~11:00の間に入院受付を済ませてください。ではまた明日」

………あの、高速使って2時間の距離なんすけど

Dr,>>「入院受付の時間はちょっと変えられないので」

………深夜に注射打って早朝に出発かぁ………

おそらく旦那ともども白目になっていたことでしょう

 

何はともあれ、ようやく採卵にまで漕ぎつけた

ここまでで初診からおよそ3か月が経過

やっと本当に不妊治療のスタートラインに立てるんだ、と希望に満ち溢れていました

 

実際は人生で最も心身ともにツラくしんどい悩みにあふれた時期へと突入していくのですが………

 

 

不妊治療日記 一年目  不妊治療の下準備

さて、本格的に不妊治療のための通院が開始された

 

高速乗って往復200㎞、受診の日はほぼほぼ半日が潰れる遠距離通院だ

 

そんなこんなでまずは治療前の検査、検査、検査………

その際にわかったことがひとつ、自分に高プロラクチン血症があったこと

 

medicalnote.jp

 

幸い、腫瘍によるものではないそうで投薬で治療開始

(今思えば、大嫌いな注射三昧+慣れない病院+相方入院で一人暮らしなどストレスてんこ盛りだったのも数値が高かった原因の一つだったのでは…)

そして高プロラクチン血症以外には特に問題もなかったので、そのまま採卵の日程調整に入る

 

同時進行で、職場にも根回し開始

当初、職場の同僚や上司は好意的かつ協力の姿勢を示してくれた

とてもありがたかった、今でも感謝している

 

けれど実は自分も職場も、自分の不妊治療によってどれほどの影響が出るかが未知数だったため楽観的な受け止め方をしていたのだと思う

職場としては不妊治療をカミングアウトした職員は初めてでどういうフォローが必要かがわからなかったし、当然自分も業務にどんな影響が出るか読めなかった

(後のコロナ禍によりその部分が露呈、連携や必要なフォローがなされず悪影響を及ぼすことに…)

それらもあってお互いに「やってみないと分からない」と思っていた

 

同僚のなかには「自分も不妊治療を受けてた」「親戚に不妊治療受けてた人がいる」と打ち明けてくれたひともいた

不妊治療の大変さを体感してるひとにも外から見てる人にも話を聞けたことは、このころの自分はあまり恩恵を感じられていなかったけれど、治療真っ最中のころに「あのとき話してくれたのと同じだ、こういう事か」と受け入れる下地になっていたことを実感できた

打ち明けるのもしんどかったかもしれない、体験談を聞かせてくれた方々に感謝です

 

 

検査結果も出て採卵にGOサインでたし、職場とも有給と公休組み合わせての日程調整完了、あとは入院して採卵するだけ!

………そう、思ってました

 

まさか、怒涛の後出しがくるとはこのとき思っていませんでした………

閑話 難病について

相方・あささんに発症した難病は

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症」というものです

 

私のざっくりとした認識ですが、「自分の免疫で自身の血管を傷つけて炎症状態」です。

カニズムとしては花粉症とよく似ている印象ですが、原因がはっきりしない点と傷つけられる血管の範囲が全身なので気づきにくいという点が違うといったところでしょうか

 

詳しくはこちら

www.nanbyou.or.jp

 

気管支炎の症状と、手足にできたイボ、発熱に全身の痛み

これらの症状がすべて1つの難病由来のものとは夢にも思わず、一つ一つの症状に対応する診療科への受診を相方にすすめていました

相方自身もこれらの症状が関連しているとは思わず、なんならずっと「マイコプラズマ肺炎」の症状だと思っていました

もしも気づくのが遅れていたら命に関わるところまで進行していたかもしれません

というのも、入院するか否かの時期に急な胸の痛みで受診したら心臓に水が溜まっていたり、入院して詳しい検査をしたら軽度の脳梗塞をいくつも発見したり…

全身にさまざまな症状を起こしており、その一つ一つが重症化のリスクをもっていたのです

この難病に最初に気づいてくださった皮膚科の医師さんには本当に感謝しています

 

今でも時々、体調が戻らない彼にもっと関心を寄せていたら、もっと早くに「マイコプラズマ肺炎にしてはおかしい」と気づいてあげられていれば…

と悔やむときもあります

今よりも人間として未熟だったあの頃の自分は、相方の体調がなかなか戻らないことを不審に思うよりも不満に思っていたので、この時期の相方はさぞ辛かったはず

 

 

そんな難病を発症した相方ですが

  • バースデー入院をかましてナースさんに「…あ、今日が誕生日ですね、おめでとうございます………って言っていいのかなぁ?」と首をかしげられたり
  • 入院中は食事制限があるというのに夜中にピザポテトを食べてナースさんからお小言を頂戴したり
  • 精伸的に不安定になったヨメのケアwを怠ってブチ切れられたり

などわりとさんざんな生活だったものの、ほぼ順調に治療をこなし予定通りに退院し

予後も良く今では定期的に受診して様子観察をしつつ、日々の仕事に家事育児にと精を出しています

 

 

 

不妊治療日記  一年目  妊孕性外来

さて、不妊治療をすることが決まった

 

各両親へもあささんの病名・治療内容・不妊治療を始めることを告知した

高速使って2時間の距離にある、別の大病院の妊孕性外来への受診予約は主治医を通して取った

 

あとは行ってみるだけ

 

妊孕性外来への受診の日、あささんの外出許可も無事に出て、早朝から出発

久々に一緒にいられる、ちょっとしたデート気分で高速道路をかっ飛ばす(制限速度以内で)

 

そして妊孕性外来

ここは精子卵子を凍結保存することを目的とした外来

医師の説明の合間に結構ヘビーなお話が混じる

絶対跡継ぎが必要なご夫婦とか、末期の病気持ち夫の精子を使うから時間が無いとか

うちはそこまでヘビーじゃなくてよかったぁ、なんてお気楽な気持ちで聞いてました(すいません)

 

早速、採精室なる小部屋に案内される

興味本位で着いていってみたけど、本来は物置では?と思えるような小部屋にソファとテーブル

基本はご自分で、必要ならパートナーと、との説明につい吹き出しそうになる緊張感ナシの自分

 

パートナーはお呼びでなかったので自分は元の待合室で待機

 

採取した精子の検査結果が出て診察室に入る

結果は

  • 元気な種の数が少ない、奇形も少ないけど運動率が低い
  • 3~4日おいてもう一度採精
  • それでも十分な量が確保出来なかったら手術も考える

 

「で、凍結精子を使っての不妊治療をするなら顕微授精をすることになります」

「そこからは奥さんにメインで頑張ってもらうことになりますね、うちの病院でできますよ」

 

………顕微授精って、高度生殖医療でも一番高額で大変なやつじゃん………

 

不妊治療を受けるとは決めたけど、しょっぱなからそんなSSランク(体感)の治療になるとは思ってなかった自分

いや、精子が作られなくなるんだからタイミング法は論外なことはわかっていたけどさ

その前に体外受精とかあるじゃん、そっちからやると思ってたよ

ってか顕微授精って一回で70~80万かかるんじゃなかったっけ…

 

動揺からコンマ0.2秒ほどで金勘定始める自分

 

まだ心に余裕があったからか早くも不妊治療を受けることを後悔し始めた…

 

 

その日はとりあえず帰宅&帰院。

帰路に着く前に自分も、不妊治療外来へ予約

紹介状ナシでの初診料をがっつり取られることになりしばし凹むものの、気を取り直して二回目の採精の受診日に合わせた予約を入れる

 

そして数日後

先に相方が診察し採精

活きのいい精子はやっぱり少なかったものの(そりゃ病身だもの、精子工場とてダメージを喰らっているはず)とりあえず十分な数が凍結できた

 

余談だが、もしこの段階で十分な数の精子を得られなかった場合

「睾丸を開いて直接精子を採取する」という金銭的にも精神的にも恐怖のオペを受けるハメになるところだったので、被弾しすでに傷ついていただろう相方の精子工場はほんとによく頑張ってくれたなと思う

 

次に自分

相方とともに診察室へ入り、現状と治療を希望する旨を医師に伝える

医>>「その状況でしたら顕微授精一択ですね、では次回の受診日に採血その他の検査を   します」「治療とは言いますが、不妊治療で成功する確率は30~40%です。けれども20代ですし、そんなに心配はいらないでしょう」

 

顕微授精一択なのはちょっとがっかりでしたが、後半の言葉で少しは不安が軽減されました

この時、自分の資産状況、治療にかかる費用も事前調査済み

お金のかかる治療だと納得のうえで、これも経験と腹をくくることにしました

上手くいけばめっけもの、くらいに軽~く考えることにして

 

よもやよもやあんなにも心身を追い込むことになるとは夢にも思っていなかったこの時点での私は、のんきにスタバのフラペチーノをすすりながらもう妊娠できる気でいたのでした…

 

 

不妊治療日記 プロローグ2

あらすじ

 

結婚後、こどもが欲しいと思うようになったあめ、ゆるく妊活開始

そのさなか、相方あさが体調を崩す

一向に復調しないあさが高熱を出して受診した診療所で、医師から難病にかかっている可能性を示唆される

 

 

 

その診療所の皮膚科の医師は、ご自分のスマホで検索をかけたらしい画面を見せてきた

画面には「チャーグ・ストラウス症候群」という病名

 

状況がまったくわからず茫然となった

あささんも、点滴を受けながら医師の話を聞いていたが同じく茫然としている

 

医師は、確証はないと言いつつこの病気だと断定している様子で

「紹介状を用意するから、○○総合病院で診察してもらうほうがいい」と伝えるとその場を離れていった

 

紹介状をもらい、まだ茫然としながらも帰路につく

 

次の日、紹介状を持参してその地域で一番大規模な総合病院へと向かう

さらに数日かけて検査を受け、結果が出た

        

         ”好酸球性多発性血管炎性肉芽腫症”

        (別名:チャーグ・ストラウス症候群

         https://www.nanbyou.or.jp/entry/3878

 

最初の診療所の医師が推測した病気で診断された

「早速入院して治療します。経過によりますが、入院期間は2か月はかかるでしょう」

こうして主治医の指示のもと、難病治療が始まった

 

病室が決まり、当面の荷物を部屋に運んでいるとき、主治医から気になる質問をされた

「おふたりにはお子さんはいらっしゃいますか?これから持つ予定は?」

あささんは特に気にすることなく「できれば、持ちたいとは…」と答える

主治医はひとつ頷き「善処します」

 

自分は言いようのない不安に襲われていた

この難病は一生ものだ

それもあってこどもを持たない人生になるのだろうか

けど医師は明言しなかったからダメと決まったわけでは…

 

もやもやとしたまま、あささんの入院生活をサポートする日々を過ごす

治療は効いているらしく入院した次の日から目に見えて食欲が戻り、熱も下がっていた

 

入院治療を始めて2週間が経ったころ、主治医から呼び出しがかかった

今後の治療方針についての説明とのことでふたりそろって面談室に向かう

 

主治医の説明は

  • この難病の主な治療はステロイドを一定期間・一定量を投与し炎症を鎮めるもの(ステロイドパルス療法)
  • ただステロイドは効果はあるけど副作用も半端なく強い
  • 今後はステロイドの量を減らして代わりに免疫抑制剤(この時は抗がん剤との説明)を使用、退院までに少量のステロイドで症状を抑えられる状態にする
  • しかし免疫抑制剤を使用すると、生殖機能が著しく低下し不妊の状態になる
  • この後天的な男性不妊免疫抑制剤投与終了後にどこまで回復するかは個人差が大きく、そのままの人もいれば一年ほどで回復するひともいる
  • 今後子どもを希望されるのであれば、免疫抑制剤への切り替え前の今のうちに精子の凍結保存を薦める

 

とのことだった

 

頭がまっしろになった

 

あの時の主治医の言う”善処”とは、精子の凍結保存を請け負う他所の病院の紹介のことだった

 

子ども、せっかくほしいと思い始めた矢先に、なんで…

 

それなら、もう、いい…あささんもきっと諦める…

 

茫然とする自分

 

あささんは「あめは、どうしたい?」と聞いてきた

続けて「おれは、希望があるなら、それにかけたい。あめに、おれの子供産んでほしい」と

 

 

あささんが望むなら、自分が拒否する理由はなかった

 

 

こうして、自分たちの不妊治療が始まることになった

 

 

不妊治療日記 プロローグ1

新婚半年

まだ子供はいいかな、と思っていた。

 

けど、産休明けの先輩とその赤ちゃんに触れるうち

漠然とだけど「こどもほしいな」と思うようになった

あささんに甥姪がすでに何人もいて、実家に行くとたいがい賑やかだったのも

意識するようになったきっかけかもしれない

なにより、まだ幼い甥姪と遊ぶあささんは理想的な父親の気質を持つように見えたから

そうして妊活を始めてみた

 

最初はアプリで自分の周期を把握して、数をこなした

けど何事もなく次の周期がくる

 

次に婦人科へ行ってみた

専門の不妊治療外来ではなく、地元の産婦人科

特に自分に異常はなさそうだった

「心配ないよ、けど血の巡りをよくする薬は出すから頑張って」

医師はそう言ってたし、自分にわかりやすい問題がないと言われて安心もしていた

 

「授かるのにもタイミングがあるし

 とゆーかまだもう少し二人の生活でいいし

 ねこさま迎えたばっかりだし

 問題ないなら別にいいや」

 

前向きに捉えることにして

引き続き自力での妊活に励む日々

 

そんなおり、あささんが気になる咳をするようになった

だんだんと苦しそうな咳こみ、呼吸にヒューヒューと音が混ざるようになってきて

仕事柄、ピンときた

 

「喘息じゃん、呼吸器内科行きなよ。○○クリニックが評判良いよ」

「めんどくさい…そのうち治るよ」

 

けどなかなか改善せず、さすがに病院にかかった

が、今度は処方箋をまじめに飲まないし吸入薬も使わない

 

「まじめに薬使いなよ、つらいのあささんでしょ?」

「だって効かないし…」

「そりゃあ処方された通りに使わなかったら効くものも効かないじゃん

 続けて使うから効くんだよ、薬ってのは」

「わかったよ…」

 

ようやく薬を使うようになったものの、いっこうに効いている様子がなく

しんどいせいか、市販の咳止めを買いあさり処方箋と合わせて勝手に内服するようになったのを知って「何を危ないことをしてるのか、吞み合わせというものがあるんだ」と小一時間怒った

不服そうだけどしぶしぶやめてくれた

 

お義母さんにも「あれ(咳)、喘息じゃない?病院行かせたら?」と心配される始末

 

けれども咳は止まらない

徐々に夜も眠れないくらいひどくなっていく

 

息苦しさに寝不足も重なってイライラしているのがわかる

不安でこちらもイライラする

 

咳が気になりだして3か月ほど経ったころ、あささんが熱をだした。

すぐに内科にかかる

診断は「マイコプラズマ肺炎

今度は処方箋をまじめに飲んでいたらしく、一週間ほどで微熱まで落ち着いた。

咳もなんとなく落ち着いていたから、実はずっとマイコプラズマ肺炎だったんじゃないかとさえ思った

 

しかし今度は微熱がずっと続く

さらに食欲も落ち気味になり、仕事休みの日は寝て過ごす

せっかくの初結婚記念日も外食など考える状況ではなく

このころは自分もまだ精神的に幼かったので、あささんの体調を気遣ってばかりの生活に不満が募ってきていた

 

あささんが「なんか手に変なイボみたいなのできた」と相談してきても、

「なんそれ。気になるなら皮膚科行きなよ」と、あまり気にかけず

 

微熱が続くようになって2週間ほど経った

仕事も休みがちで出勤すると微熱どころじゃない発熱でまた欠勤を繰り返す有り様

徐々に熱も上がっていく

気が付けば常に37度台の発熱をしている状態がいつまでも続く

けれど思い込みとは怖いもので「マイコプラズマ肺炎って診断されたし、それが治りきってないだけなんだろう」とお互いに思っておりまた受診する必要性を感じなかった

 

ある日「どうしても出ないと」と、ふらつきながら出勤支度していて

さすがに心配だったので自分が運転して送っていった日

 

あささんを職場に降ろし、自宅に戻って一時間ほど経ったころ

彼の職場から迎え要請の電話があった

いわんこっちゃない、すぐさま彼の職場まで車を飛ばした

 

すぐにかかれそうな内科の診療所をピックアップしていたので、この期に及んでまだ渋る彼を説得して受診することに

なぜならその時、今までで最も高い38度越えの発熱に加え食事もろくに取っていなかったためふらふらだったから

 

その診療所に着いてさほど待たずに診察が始まった

病状を説明、すると医師は

「よくわかんないけど、マイコプラズマじゃないよ」と言った

意味がわからなかった

じゃあ今までマイコだと思ってたこの症状は何なの?何が原因?

 

とりあえず、脱水も起こしてるからと点滴を打つことに

その間に彼を皮膚科の医師が診察することになった

先ほど内科の医師に今出ている症状を説明した時に手のイボのことも説明したからだ

 

その時気づいたのは、イボが手だけでなく肘や足の指などにも増えていたこと

いつのまに…

 

そのイボのひとつ一つを医師が診察していく

その医師はなにやら顔をしかめつつ「断定はできないけど…」と話し始める

 

「これ、ひょっとしたら全部難病の症状かもしれない」